世間にはたくさん流行っている飲食店がありますよね。
あなたも飲食店をオープンするなら、お客様であふれる繁盛店をつくりたいと思っているでしょう。
お店を繁盛させるには、飲食店の基本を知る必要があります。
なにごとも基本が最も重要なのです。
そこでここでは、飲食店を繁盛させるための基本を紹介していきたいと思います。
ぜひ基本を身につけ、これからオープンするお店を流行らせてください。
これからの時代の飲食店に求められるものとは?
お客様はなぜ飲食店を利用するのでしょう。
この答えを明確できるかどうかで、ビジネスの成功は大きく左右されます。
お客様が飲食店を利用する理由を利用動機といいます。
ここでは、飲食業の基本という視点から利用動機について考えてみたいと思います。
昔から飲食店は不況に強く、食いっぱぐれることはないといわれています。
人間の生活において、飲食は絶対に切り離すことができません。
だから、お客様がなくなることはないということです。
たしかに、昔はなんとかなっていたかもしれません。
しかし、いまの時代では、それが通用しなくなっているのです。
もちろん、飲食のニーズがなくなることは絶対にあり得ません。
しかし、長引く不況もあって、不振に苦しむお店も少なくありません。
撤退を余儀なくされるケースも多く、それが現実なのです。
最近では、コンビニに行けば大抵のものは買うことができ、家庭での食事のレベルも高くなっています。
このような時代に、飲食物を提供しているだけで経営は安定しないのです。
実は飲食店最大のライバルはコンビニです。
たとえば、ランチタイムは、飲食店のいちばんの稼ぎ時です。
しかし、現実はコンビニに負けてしまっているお店がたくさんあります。
理由は、コンビニで売っている食品のほうが、飲食店よりも安くて価値があると判断されているからです。
これは、昼間のオフィス街や繁華街などで日常的に見られる光景です。
そして最近では、駅前商店街や住宅地でも、コンビニにお客様を取られる飲食店が増えてきています。
とは言え、飲食店に未来がないわけではありません。
コンビニは脅威ですが、それは、コンビニと同じ土俵で、何の戦略もなく戦おうとするからです。
実際、コンビニの激戦区でも繁盛している飲食店はたくさんあります。
また、夜のディナー帯になると、飲食店のほうが強くなります。
不況のあおりを受け、夜も苦戦を続ける飲食店も少なくありませんが、やり方次第で繁盛できるのです。
ここで大切なことは、「なぜ飲食店はディナー帯が強いのか」ということです。
ここに、お客様が飲食店を利用する理由が潜んでいます。
お客様が飲食店を利用する理由は、大きく二つに分けられます。
それは、利便性とレジャー性の二つです。
ランチタイムはコンビニが強い理由は、利便性という土俵の上では、コンビニが圧倒的に強いからです。
しかし、レジャー性の勝負になると飲食店が有利になります。
外食はだれにとっても、最も身近なレジャーです。レジャーであれば、必然的に豊かな楽しさが求められます。
そして、その楽しさを提供できるのは飲食店だけだからディナー帯に強いのです。
お客様が飲食店を利用する動機は、豊かな楽しさを味わうためです。
ただし、昔と今では求められるレジャーの中身が異なります。
外食それ自体がイベントだった時代は、飲食を提供するだけでレジャーの場として通用していました。
しかし、今はこれでは通用しません。
豊かな時代にふさわしいレジャー性を提供できなければ、お客様は認めてくれないのです。
料理やドリンクを売るだけの発想では、コンビニに勝つことはできません。
豊かなレジャー性を高めることが、飲食店繁盛の絶対条件なのです。
ただし、レジャー性と客単価は必ずしも一致しません。
価格は業態によって決まるものなので、豊かさはすべての業態に求められます。
飲食店の業態を決める7つのポイント
業種と業態は、まったく別の意味を持ちます。
業種とは、主力商品のジャンルによる分類です。
一方、業態とは、お客様の利用動機への対応方法による分類です。
業種の中にいくつかの業態があり、業態が同じだからといって同じ業種ということにはなりません。
一般的に、飲食店は業種だけで認識される傾向があります。
そのため、業種を決めただけでお店づくりに入ってしまうことも少なくありません。
しかしそれではお店の業態がはっきりしません。
お客様がお店を選ぶ時の最大のポイントは価格です。
どうしても食べたいメニューが決まっている場合は別ですが、通常は予算内で何を食べようか考えます。
つまり、予算に合った業態の中で業種を選び、具体的なお店を選ぶという流れになるのです。
そのため、同じ業態の飲食店は、業種にかかわらずすべて競合店になります。
なぜなら、同じ利用動機を奪い合う関係になるからです。
また業態は、次の七つの要素に分解されます。
・What(主力商品)
・Why(お客様の利用動機)
・Who(主要客層)
・When(営業時間)
・Where(出店立地)
・How(売り方のスタイル)
・How much(価格)
業種は、このうちの一つの要素でしかありません。
残りの六つ要素が決まらなければ、具体的にお店をどうするか判断することができないのです。
お客様のお店選びの心理から分かるように、七つの中で最も重要なのは価格政策です。
そして、価格を決定するのは利用動機と主要客層です。
主要客層を決めるには、立地や営業時間を決める必要があります。
このように業態を構成する要素を分解すると、飲食店が業種だけでは成り立たないことがわかります。
もう一つ注意が必要なことは、商圏は価格が低くなるほど狭くなり、同一エリア内での出店数が増えるということです。
これは、利用動機が日常的であるほど、ニーズが豊富になるからです。
厳しい競争を乗り切り確実に成功するためには、まず自店の業態を明確に構築し、それをアピールすることが何よりも大切です。
お店の未来を左右するコンセプトとは?
飲食業界では、コンセプトという言葉の意味を正しく理解できていないケースが意外と多いようです。
新しい視点や新しい意味づけといったニュアンスに流されて、具体的に何がコンセプトなのか曖昧になってしまっています。
そして、ただのイメージ的な使い方をしていることが、知らない間に大きな弊害となっています。
たとえば、外国のリゾートの雰囲気や、家庭的な雰囲気のお店といったイメージだけで、お店を利用してもらうための具体的なプランになっていないのです。
では、飲食店におけるコンセプトとはなにを指すのでしょう。
それは、どのようにお店を利用してもらうのかという基本的なプランです。
ここで、業態の七つの要素が重要になります。
業態を構成する要素は、業種、お客様の利用動機、主な客層、営業時間、出店立地、お客様の楽しみ方のスタイル、価格政策の七つの要素がそれぞれ結びつき合って構築されます。
これは、どのようにお店を利用してもらうのか、具体的に煮詰めていく作業になるのです。
つまり、飲食業におけるコンセプトは、業態を決める上で基本となる考え方ということです。
そして、そのプランは「お客様の利用の仕方」という視点で考えるので、利用頻度や滞席時間、オーダーの内容まで想定する必要があります。
ところが、外国のリゾート風や家庭的な雰囲気は、お客様の楽しみ方のスタイルでしかありません。
だから、イメージだけ決めただけでは、狙いとする客層を取り込みやすい立地や、来店頻度も想定した価格などが決められないのです。
これでは、お店を動かすシステムを構築できません。
たとえば、メニュー数と厨房設計、厨房での人員態勢がしっかりしていなければ、料理をスムーズに提供することができません。
飲食店はスムーズに機能することで、はじめてお客様に満足を提供することができます。
そのためのスタートとなるのがコンセプトなのです。
お客様からの評価を決定するQSCのバランスとは
サービス業である飲食業は、他のビジネスに比べて極めて高い粗利益率を誇ります。
粗利益とは、売上高から材料原価を引いた残りの金額で、飲食業は65~70%前後が標準です。
10~20%程度がふつうの小売業とは大きく異なります。
そしてお客様は、飲食業の粗利益率が高いことを知っています。
それにもかかわらず、なぜお客様は飲食店を利用してくれるのでしょう。
それは、飲食店ならではの「付加価値」があるからです。
お客様は原価に対してお金を支払うのではなく、付加価値に期待してお金を支払っています。
だから、付加価値が少なければお客様は評価してくれません。
飲食業の付加価値は次の三つの要素に分けられ、QSCと呼ばれます。
Q商品(クオリティー)
Sサービス
C雰囲気(クレンリネス)
では、具体的に説明していきましょう。
一つ目の商品は、料理やドリンクのことですが、単純においしければいいというものでもありません。
材料や調理方法のオリジナリティー、盛りつけの美しさや個性、メニュー構成、食器づかい、へルシー感の表現なども重要な付加価値になります。
ドリンクの場合、人気のドリンクや銘柄の品揃えだけでなく、グラスのセンス、適温での提供も大切です。
二つ目のサービスは、オーダー受けや料理を運ぶだけではありません。
おもてなしの「心」やお客様への感謝の気持ちを表現し、奉仕の精神に徹した細やかな配慮が必要です。
三つ目の雰囲気とは、居心地のよさということです。
そのためには、快適さを感じさせる内装デザインや清潔感の徹底が何よりも大切です。
また、演出のオリジナリティーも重要な付加価値となります。
これら三つのレベルが、お店の代金として正当と認められればお客様は満足してくれます。
つまり、三つのレベルが高くなればなるほど、お客様の満足度は高くなりお店は繁盛するわけです。
ただし、飲食店としての価値はこれら三つの要素の総合力で決まることを忘れてはなりません。
たとえば、料理がおいしくてオリジナリティーがあっても、それだけで原価の三倍の価格をお客様に納得させることはできません。
また、どんなに温かみのあるサービスをしても、料理がまずかったりフロアが薄汚れていたりしては、お客様は認めてくれないのです。
お客様は、なんとなく居心地がよくないという理由だけで来なくなってしまいます。
飲食店ならいくらでもあるので、イヤな気分を我慢してまで利用してはくれないのです。
QSCの付加価値は、トータルの価値がお店に対するお客様の評価対象となります。
これが、飲食店ビジネスの本質なのです。
ところが、QSCのレベルとバランスに気を使っているお店は多くありません。
三つのうち何か一つでも長所があれば、繁盛できると思ってしまっているのです。
最もよくありがちなのが、料理に自信がありすぎるケースです。
たしかに、飲食店にとって料理は第一の売り物です。
しかし、料理がおいしいことは飲食店としての最低限の条件でしかありません。
お客様にとってそこそこ美味しいことは当たり前なのです。
一昔前なら、家庭では味わえないおいしさが最大の売り物になりました。
しかし、今となっては外食に慣れ、お店も色々あります。
そして、家庭内での食事のレベルも絡段に高くなっています。
よほど飛び抜けたおいしさや価格の安さがなければ、料理だけで勝負することはできない時代なのです。
お客様にとって、外食とは最も身近なレジャーです。
料理もサービスも雰囲気づくりも、すべて豊かな楽しさを提供するための要素です。
お客様の満足感を追求するには、QSCのバランスが非常に重要なのです。
お客様の満足感を満たすちょっとしたコツ
飲食店の評価は、QSCの三つの総合力で決まります。
しかし、最終的な評価に至るまでに、お客様はさまざまな場面、角度からお店を眺め評価をするものです。
そして、できるだけ高い評価を得るためには、お客様の満足感の尺度を細かく知っておく必要があります。
では、その例を挙げていきましょう。
まず商品に関しては、以下のような感じ方が考えられます。
・この程度の味なら他店と変わらない
・味はいいけどボリュームが足りない
・味もボリュームも問題ないけど食器がよくない
・味、ボリューム、食器ともいい
また、サービスの場合は、以下のような感じです。
・礼儀正しいけど親しみが感じられない
・感じが悪いというほどではないけど態度がイマイチ
・愛想はいいけど水を替えるなどの配慮が足りない
・お客様への感謝の気持ちが感じられない
・いつ行っても感じがいい
さらに、雰囲気は以下のような感じです。
・接客の態度はいいけど内装が安っぽい
・内装は立派なのに清潔感に欠ける
・内装はいいけど座り心地が悪い
・内装はイマイチだけど隅々まで磨き込まれていて気分がいい
・飾りつけのセンスがよくない
ここに挙げたほとんどの評価は、ちょっとした「感じ」に左右されています。
お客様は、ほんのわずかなマイナス点も、けっして見逃してはくれません。
そして、マイナス点がいくつか重なると、価値のないお店と評価されてしまいます。
しかし、逆に考えるとほんの小さなことでも、気に入ってくれたり感動してくれたりするということです。
たとえば、サービスで親しみが感じられないという不満は意外と多いものです。
そこで、親しみの感じられるサービスに徹すれば、ある程度のマイナス面はカバーすることができます。
常に「お客様の目から見たらどう見えるか」「お客様の立場だったらどう感じるか」という視点をもつことが大切です。
そして気づいたらすぐに改善する努力を継続することで、本当に愛されるお店になることができます。
飲食店を繁盛させる働きがいとは?
飲食業の本質は「おもてなし業」ということにあります。
飲食店の仕事は、「お客様に尽くす」という一言に尽きます。
ということは、すべての仕事はお客様のためにあるということです。
ここが大きなポイントです。
どんな仕事でも、好きになることが上達の近道です。
しかし、仕事そのものを好きになるだけでは、飲食業の本質は理解できません。
なぜかというと、お客様のための仕事になっていないからです。
仕事が好きなことと、お客様に尽くすことは必ずしも一致しません。
それどころか、仕事が好きだと「自分のための仕事」になりがちです。
心からお客様に尽くせるようになるためには、まず人を好きになる必要があります。
お客様に尽くすのが仕事なのだから、人好きでなければ上手くいくはずがありません。
本当に尽くせば、お客様は必ず喜んでくれます。
本当の繁盛店はこれを理解し、誠実に実践しているお店なのです。
そして、飲食業の本当のやりがいは、お客様の喜びがそのまま自分の喜びになるところにあります。
そして、お客様が喜んでくれればくれるほどお店は繁盛し、自分たちの生活も豊かになっていきます。
飲食店の経営でいちばん大切なことは、売上高の意味を正しく理解することです。
売上高とは、お客様が支払ってくれた代金の総額です。
問題は、その金額が何の結果によるものかということです。
飲食店のよさは、実際に利用してみなければ分かりません。
そして通常は、何度も利用しているうちにお店のファンになります。
お客様はいろいろなお店を利用し、自分の納得できるお店を選びたいと考えています。
つまり、売上高とはお客様の満足度の結果なのです。
繁盛の秘訣は、ひとりでも多くのお客様に満足してもらうために、ひたすら尽くし続けることにあります。
そして、尽くした努力がお客様の喜びとして返ってきて、それが働きがいになります。
経営者が持つ3つの重要な役割
経営者の役割と聞いて真っ先に浮かぶのは、資金の調達や資金繰りでしょう。
しかし、経営者が担わなければならない役割と責任は、お金のことだけではありません。
細かく見ていけば当然、いろいろな役割と責任がありますが、最も重要な役割は次の三つがあります。
①明確な経営理念を持つこと
②資金の調達と円滑な資金繰り
③確実性のあるビジョンを持つこと
では、それぞれについて見ていきましょう。
まず経営理念についてですが、どんなビジネスも発展するには、社会での明確な存在理由がなければなりません。
社会で活動するのだから、消費者の生活に対する価値がなければ発展できないのです。
特に、個々のお客様に対して直接価値を提供する飲食業の場合、その存在を厳しく問われることになります。
繁盛できないということは、お店の存在価値が認められていないということなのです。
お客様はお店をシビアに選びます。
その時、存在価値がないお店と思われたらおしまいなのです。
「個人の飲食店には経営理念なんか必要ない」と思いがちですが、そんなことはありません。
お店の社会における存在価値を確立しなければ、明るい未来はありません。
また、きちんとした理念がなければ、ビッグビジネスに成長することもできないでしょう。
経営理念とは、お店が社会に対して貢献するための行動基準を明らかにしたものです。
つまり、社会での存在理由を明らかにしたもので、飲食店経営という事業全体にかかわる思想であり行動原理となります。
飲食業における経営理念の柱になるのは、お客様第一主義です。
お客様が満足するお店は、社会での存在理由の確かなお店となります。
また、どのような商品やサービスを提供することで社会に貢献するのかということも、理念の重要な柱となります。
経営者は、この理念のもとにスタッフに対して強力なリーダーシップを発揮する責任があります。
トップのリーダーシップは、トップダウン式の命令系統のことではありません。
経営理念に基づいた行動指標を、常に示し続けることなのです。
次に、資金の調達や資金繰りについてです。
これは、確実に実行できなければ意味がありません。
たとえば、経営者はスタッフに対して給料を支払う義務を負っています。
また、取引業者に対する支払いもあります。そこに甘えがないか、確認しなくてはなりません。
また、ビジネスを発展させていくには、新商品の開発や内外装のタイムリーな改装が不可欠です。
しかし、資金繰りに苦労しているようでは、そんな余裕は生まれません。
お店がつまずくと、スタッフだけでなく、利用してくれているお客様にも迷惑をかけてしまうのです。
最後にビジョンです。ビジョンとは、将来の見通し、未来像です。
夢や漠然とした予定ではなく、何年後にどのような姿になっているという具体的な計画を指します。
では、なぜビジョンが不可欠なのでしょう。その理由は、明確なビジョンがなければ、経営者もスタッフも意欲を持って仕事に取り組めないからです。
目標や計画がなければ、思いつきでなんとかやり過ごしていくしかなくなります。
これでは、スタッフもついて来ないし、人材も育ちません。
優秀な人材が定着しないのは、このビジョンの欠如によることが多いです。
スタッフに不安を抱かれてはいけないのです。
お店の未来を決める店長の役割と責任
正確にいうと、店長は経営者の代行者になります。
だから、店舗内すべての責任を負うことになります。
店長の責務を具体的に言うと、経営者からお店の資産とスタッフを預かり、経営者に代わりお店の営業活動を管理し、売上目標を達成することです。
ただし、これだけでは運営委託と変わりません。
実は、いま挙げた店長の業務には、最も重要な役割と責任が欠けています。
それは、経営者の経営理念を実現するということです。
つまり、経営者に代わってお客様により満足してもらう責務を負うのが店長ということです。
満足してもらうには、商品、サービス、雰囲気全ての面でレベルを維持し、さらに磨き上げる必要があります。
その結果として目標売上を達成し、適正な利益を生み出すことが店長の責任です。
店長はお店の最高責任者ですが、毎日の営業活動を通じて自店のQSCを表現するのはスタッフです。
そのため店長は、スタッフに対して経営者の理念を的確に示す必要があります。
そのためには店長自らが、QSCに対して経営者と共通の認識を持ち、経営方針を十分に理解しておかなければなりません。
また、お店の中で店長は、経営者とスタッフの接点になります。
しかも、店長は売上げを上げ、利益を生み出す現場をいちばんよく知っている管理者です。
そのため店長は、経営者とスタッフ、二つの方向のコミュニケーションを図る必要があります。
マネジメントとは、ヒト、モノ、カネを有効に使って経営の目的を達成する技術のことです。
店長の最終的な責任は、適正な利益を生み出すことなので、さまざまなコストコントロールの技術も要求されます。
しかし、計数管理技術に長けていても、スタッフのレベルが低ければ売上げは上がりません。
つまり、店長にとって最も大切なことは、お客様に満足してもらえるようスタッフのレベルを高めることなのです。
一般的にお店の売上予算は経営者が設定し、それが予算書として店長に渡されます。
しかし、それは計画目標にすぎません。目標を達成するための具体的な計画は、店長が立てなければならないのです。
このときに大切なのは、費用対効果を明確にすることです。
そのためには、過去の営業実績を分析し、なぜその計画が必要か明確にする必要があります。
次に、その計画を達成するために必要な行動を、スタッフ全員に周知徹底する必要があります。
スタッフが計画の意義や目的を理解していなければ、どんなによくできた計画も意味がありません。
スタッフのヤル気を促すには、スタッフの納得が不可欠です。
また、本部の仕入れ部門など他部門にも関係のある計画の場合は、問題が起こらないよう事前に関係部門の責任者と意思の統一を図っておかなければなりません。
ただ、計画は思い通りに進まないのが普通です。
だから店長は、常に計画通りに進行しているかチェックしなければなりません。
もしも計画通りに達成していないようなら、、、
・計画と実績のズレはどれだけあるか
・ズレが生じた原因はなにか
・計画達成に近づけるためにどんな対策が必要か
この三つを明確に分析しなければなりません。
過程を見直すと同時に、計画自体が妥当だったかどうかという点も、冷静に検討する必要があります。
スタッフをまとめるために店長に必要な心構えとは?
店長の職務は経者の代行です。
そのため、店長としての心構えの第一は、自分は雇われているという意識を極力持たないようにすることです。
なぜなら、雇用されているという意識が強いと、どうしても責任感が甘くなってしまうからです。
店長はあくまで現場の長であり、最終的な責任は経営者にあります。
しかし、その意識が知らず知らずのうちに、自分の逃げ道をつくってしまうのです。
経営者の代行とは、経営者の代わりにお店にいればいいということではありません。
経営者に代わってお店を繁盛させ、利益を生み出すことが店長の仕事です。
飲食店の仕事は、スタッフ全員のチームプレーで行われます。
店長は、お店というチームをまとめ、動かしていく監督の役割になりますが、ここで一つ注意点があります。
それは、スタッフの先頭に立って働くことがいい店長ではないということです。
スタッフとともに動き回るのは、店長の仕事ではありません。
ふつう店長は、お店の入り口付近に立っているものです。
これは、ホール全体を見渡して、スタッフのサービスがきちんと行われているかどうか、監督しなければならないからです。
もちろんピーク時などは、店長もスタッフと一緒に接客する必要があるでしょう。
しかし、その場合でも店長は、スタッフの接客サービスにミスがないことと、厨房ホールの連携がスムーズにいっていることに注意しなければならないのです。
なぜなら店長には全てのお客様に満足してもらう責任があるからです。
そのためにはスタッフの調整も必要です。自分がスタッフの一員になってしまったら、その役目を果たすことができません。
チームをまとめていくには、リーダーシップを発揮する必要があります。
そして、店長のリーダーシップとは、スタッフに意欲づけができるということです。
そのためには、スタッフから尊敬されなければいけません。人を動かせるかどうかは、人格の問題なのです。
部下に命令する立場にある者は、自らが模範とならなくてはなりません。
飲食業のすばらしさ、お店の現場で働くことのすばらしさと仕事の重要性を認識し、スタッフに対してそのすばらしさを感じさせる人間でなければなりません。
そのため店長は、お店の中で最も自分に厳しく、目標達成に向かって最も意欲と意志の強い人でなくてはなりません。
また、部下に尊敬されるためには、私生活にも十分注意する必要があります。
店長はどこへ行っても、お店の看板を背負っていることを忘れてはいけません。
仕事を離れたらプライベートと思うかもしれませんが、周囲の目は違うのです。
こういう意識を持つことが社会的責任感となり、それがしっかりとできている店長は、スタッフから尊敬されます
スタッフによく働いてもらうには、スタッフの様子を細かく観察する必要があります。
仕事のやり方はもちろん、健康状態や私生活の面まで神経を行き届かせて、異変を素早くキャッチします。
とは言え、スタッフのプライバシーにまで踏み込むということではありません。
たとえば、私生活の乱れや悩みが原因で突然辞めるというパターンは、必ず何か兆候があるものです。
変化に気づいたらすぐに相談に乗る。そのような配慮が大切です。
また、店長はスタッフを叱れなければいけません。いいたくないことでも、必要があればいわなければならない立場なのです。
叱る必要があるということは、お店の中に問題があるということです。
そして、問題は放置しておくとより大きな問題となっていきます。
そうなると、叱るだけでは解決できなくなってしまいます。
ここで重要なのが叱り方です。
なぜ叱られたのか、どこを直せばいいのかが簡単に理解できるように叱る必要があります。
また、愛情があるからこそ叱るということを分かってもらうことも重要です。
お店の利益を増やす管理的思考の身につけ方
お店の最高責任者である店長は、常に管理的思考でお店を運営しなくてはなりません。
この場合の管理的思考とは、全てにおいて売上を上げるために合理的に考えるということです。
たとえば、スタッフを管理するときも、ただ規則を押しつけるだけでは意味がありません。
なぜなら、いくら厳しくスタッフを規制しても、それで売上げが上がるわけではないからです。
規則を守ることがサービスの向上につながり、お客様の支持が増えることでその規則には意味があります。
また、サービスを充実させたいからといって人件費をかけすぎたら、売上高が上がっても利益がなくなってしまいます。
そのため、店長は常に必要最小限の人員配置をする必要があります。
これを実現するには、個々のスタッフの能力を向上させる努力を続けなければなりません。
この個々の能力の把握も重要な管理業務となります。
このように、常に売上と利益の確保を目的に考えることを管理的思考といいます。
お店の管理は、店長の業務の目的ではありません。あくまで、目的を達成するための手段なのです。
売上高を上げるために合理的に考えるということは、すべての管理業務を計数感覚でとらえ、実践していくことです
管理業務の結果は全て数字で表れます。
なぜなら、売上高はお客様の満足の結果だからです
。飲食店の売上高は、店長の能力によって10~20%の違いが出ます。
つまり、できる店長とダメ店長では、最大40%の遠いが出るということです。
しかも、飲食店の経費は必ずしも売上高の増減と比例するものではありません。
たとえば、二倍の売上高にするために二倍の人件費が必要とは限りません。
そのため、利益の違いの幅はもっと大きくなります。
このことから分かるように、管理的思考ができることは計数管理ができるかどうかです。
ところが、飲食業では計数管理を苦手にしている人が少なくありません。
しかし、いまの飲食業では、計数管理能力はお店の管理に絶対に不可欠な能力です。
計数感覚を養うと、スタッフ管理のように直接数字に表れない管理業務についても、管理精度が高くなります。
なぜなら、計数感覚が磨かれると、何事も分析し合理的判断で答えを導き出そうとする思考力が身につくからです。
なぜ飲食業にスタンダードが必要なのか
飲食業におけるスタンダードとは、お店におけるQSC(商品、サービス、雰囲気)の基準レベルのことを指します。
料理、サービス、クレンリネスそれぞれに最低限の基準を決めます。
そして店長は、常にその基準以上のレベルをお客様に提供できるように努力する必要があるのです。
ただし、このスタンダードのレベルを決定できるのは経営者だけです。
経営者は、経営理念や経営戦略に基づいて、お店のスタンダードを決定します。
店長は、そのスタンダードの実現のために努力するのです。
つまり、経営理念や戦略がなければ、スタンダードは決めることができません。
そのためスタンダードとは、経営者のビジネスに対する考え方の表明ということもできます。
また、スタンダードはコンセプトの表現という言い方もできます。
コンセプトは、商品、サービス、雰囲気を決める柱になっているべきものです。
そのため、スタンダードを設定すると、ターゲットとする客層や利用動機も決まります。
つまり、スタンダードが曖昧ならお客様にとって目的意識をもてない店ということになります。
また、スタンダードが暖昧な場合、料理や接客サービスがスタッフ個々の能力に依存してしまいます。
たとえば料理は、つくる人によってかなり違いが生まれます。プロの料理人が同じレシピでつくっても、微妙に違いが出ます。
接客サービスの場合、さらに個人の違いが出てしまいます。また、標準がなければ、適切な教育・訓練もすることができません。
雰囲気についても同じです。
特に大切なクレンリネスのレベルが決まっていないと、たまたま掃除してあるか汚いかのどちらかになってしまいます。
さらに、スタンダードは常に注意していなければ必ずレベルが下がるので注意が必要です。
ライバルを寄せ付けないお店の差別化の方法
飲食業界の競争はどんどん激化しています。飲食店は少ない資本で誰でもオープンできるビジネスのため、どんどん店数が増えています。
しかも、お客様の飲食店を見る目も肥えています。
いろいろな業種業態のお店をたくさん体験しているし、マスコミなどの情報も豊富なので、自分の価値観に合ったお店を選ぶことが当然になっているのです。
このような厳しい状況で生き残るにはどうすればいいのでしょう。
その答えは、お客様に選ばれるお店になることです。
途中にどれだけ飲食店があろうと他のお店には目もくれず、遠回りをしてでも自店に足を運んでくれるお客様をがっちり掴むことが重要です。
このように、利便性とは関係なくわざわざきてくれるお客様を目的客といいます。
そして、繁盛店は目的客でいっぱいです。
では、なぜお客様は、近くにある飲食店を素通りしてわざわざ遠くのお店にいくのでしょう。
その答えは、そのお店に他店にない魅力があるからです。
あの料理はあのお店でしか食べられない、あのお店なら心からゆったりとくつろげる。そう思うから遠くても足を運ぶのです。
これが差別化のパワーです。他店との競争に勝つには明確な差別化しかありません。
お店だけの魅力を確立し、それをアピールするのです。これができればどんな競合店も怖くはありません。
ただし、経営環境は不変ではありません。
いまは差別化できていても、すぐ近所に強力な競合店が出店してくるかもしれません。
長期的に繁盛を持続していくには、その可能性が大きいと考えたほうがいいでしょう。
つまり、差別化は一度達成すればいいものではないのです。
商品、サービス、雰囲気全ての面で常にブラッシュアップする必要があります。
一時的に繁盛することは簡単です。
しかし、数多くの競合店の中で繁盛を持続することは簡単なことではありません。
差別化は、商品、サービス、雰囲気のどの要素でも可能ですが、決め手となるのは個性です。
たくさんの飲食店がひしめいている時代ですが、本当に独自性をアピールできているお店は非常に少ないのが現状です。
つまり、差別化の方法やチャンスはいくらでもあるということです。
まずは何で自店の特徴をアピールするか考えてみましょう。それが差別化の第一歩です。
お客様の支持を得るためサービス業の本質を理解する
サービス業はモノではなく価値を提供する産業のことですが、飲食業においてはより具体的に考えなくてはなりません。
それは、飲食店は奉仕業ということです。
サービスという言葉には、だれかのために気を配って尽くすという意味があります。
そのような、心のこもったサービス精神を基本にする仕事が飲食業です。
接客サービスをするからサービス業というわけではありません。
飲食店で接客サービスが重要なのは、それがお客様に尽くす手段だからです。
あくまでお客様に尽くすからサービス業なのです。
お客様は、おもてなしの付加価値に対して、支払いという形で応えてくれます。
飲食店の価値は、飲食ができるとか料理がおいしいということだけにありません。
では、飲食店の本物の売り物は何でしょう。
それはお店の心です。
商品を通して心を提供するのが、飲食店の本来の姿なのです。
つまり、お客様に支持されるには、お客様の喜びを最優先にする心を持たなくてはならないのです。
商品のクオリティーの高さやお値打ち感も、尽くす心がなければ真価を発揮することはできません。
そして、その「心」を表現するために行うのが、接客サービスなのです。
飲食店がサービス面で最も陥りやすい落とし穴が、サービスの形骸化です。
つまり、おもてなしの心の喪失です。
そして、心のこもらないサービスでは、お客様をかえって不快にさせてしまいます。
接客サービスの仕方は、どこのお店も大体同じです。
しかし、気分のいいお店とそうでないお店との間には、はっきりとした違いがあります。
つまり、形だけ似ていても、中身が伴わなければ意味がないのです。
お客様に尽くすということを本当に理解していれば、お客様が少しでも楽しく豊かな気分で過ごせるように配慮するはずです。
この配慮こそ、奉仕業の本質です。
これは、接客だけの話ではありません。商品づくりや雰囲気づくりも、基本にこの精神があるかどうかでまるで違ったものになってしまいます。
お客様を引き寄せる商品力をつける方法
商品力とは、お客様をひきつける商品のパワーです。
飲食店の価値は、商品、サービス、雰囲気の総合力で決まりますが看板は商品です。
サービスや雰囲気がいくらよくても、料理がダメでは話になりません
。まずくはなくても、それほど魅力のない料理ではお客様を呼ぶことはできません。
サービスや雰囲気は、強力な商品力があってはじめて、その付加価値を発揮することができるのです。
お客様が飲食店を利用する目的は、食事を通して豊かで楽しい時間を過ごすことにあります。
だからこそサービスと雰囲気のレベルアップが必要なのですが、ニーズの中核にあるのは「食事の内容」です。
料理に魅力があるからこそ、そのお店での食事が楽しくなるのです。
お客様は、自然と商品力のあるお店に足を向けているものです。
商品力には、そういうパワーがあります。
商品力において、最も大切な要素はオリジナリティーがあることです。
他店との違いが明確で、お客様に「あのお店でしか食べられない」と思わせる魅力こそ、最も強力な差別化のパワーになります。
もちろん、高級レストランのような高度な調理技術があれば、それはすばらしい付加価値となり、独自性のアピールも十分です。
ただし、だからといって必ずしも売れるとは限りません。
なぜなら、商品力はお客様のニーズを無視しては成り立たないからです。
お客様のお店選びのポイントになるのは、利用動機と価格です。
そしてそれらは、お客様自身のニーズによって決まります。
飲食店の商品はお客様のニーズを追及した答えである必要があります。
この追求がおろそかだと、どんなに高度な調理技術を駆使してもお客様は振り向いてくれません。
需要のない商品を一方的に売ろうとしても、売れることはないのです。
つまり、商品力には価格設定も含まれるということです。
たとえば、同じような内容とクオリティーであれば、お客様は当然価格が安いほうを選びます。
しかし、お客様は安ければ何でもいいということにはならないから難しいのです。
リーズナブルプライスは飲食店成功のキーワードですが、単純に金額として安いということではありません。
価値に対して、価格が適正かどうかがポイントとなります。
お客様を納得させる価値があれば、それが適正価格ということになります。
お客様にまた来てもらえるお店の雰囲気を作る方法
飲食店の雰囲気は、店舗の内外装デザインとスタッフの雰囲気が一体となって形成されます。
そこでまずは、店舗自体の雰囲気づくりについて考えていきましょう。
飲食店の雰囲気づくりの重要なポイントは以下の二つです。
①業態にフィットした内外装デザイン
②クレンリネスの徹底による清潔感
まず内外装デザインについてみていきましょう。
飲食店の外装は「業種らしさ」が重要視されています。
ひと目で「何屋」と分かる店舗づくりです。初めて利用するお客様にとって、お店が何屋なのかひと目で分かるということは、安心感につながる非常に大事な要素ではあります。
ただし、あまりにも業種らしさにこだわりすぎると、肝心の個性がなくなってしまいます。
お客様は、安心感があるだけでは魅力を感じてくれません。
これは内装デザインについても同様です。
業種らしい内装が「どこにでもあるようなお店」と思われてしまったら、お客様を引きつける魅力にはならないのです。
そのため最近は、業種らしさを思い切ってなくし、個性的な店舗にする傾向が強くなっています。
ただ、これには流行も大きく影響します。
いずれにしろ、自店だけの個性を際立たせる工夫は欠かせません。
一方、業態にフィットさせる方法は、業種らしさと直接の関係はありません。
業態にフィットさせるというのは、客層、利用動機、価格に見合った内外装デザインにするということです。
たとえば、ポピュラープライスのお店なのに、妙に高級感のある外観ではお客様は安心して入れません。
内装にしても、業態にそぐわない高級感のあるデザインでは、とてもゆったりと過ごす気分にはなれないのです。
お客様にとって「いいお店」とは、気分よく過ごせるお店です。不相応な高級感は、むしろ邪魔になるだけなのです。
逆に、高級業態なのに店舗は安っぽい場合もあります。
この場合も、価格に見合った華やかさがない店舗では、わざわざ高いお金を支払って利用する価値がないということになります。
つまり、価格を納得してくれるはずの客層や利用動機を取り込むことができなくなるのです。
次に清潔感についてです。
どんな内装デザインであっても、清掃が行き届いていなければ薄汚れたお店でしかありません。
料理のおいしさもサービスも、クレンリネスの徹底による清潔感があってこそ、その価値を十分に発揮することができます。
いつも清潔感に満ちたお店だからこそ、お客様は楽しく豊かな食事の気分を味わえるのです。
そのことから、クレンリネスは飲食店の雰囲気づくりの基本ということができます。
お店の雰囲気が悪くなる原因には、人とモノの両面があります。
人の面では、職場規律の乱れが原因となって進行していきます。
職場規律がきちんと守られていれば、スタッフはいつも生き生きしています。
しかし、職場規律はいつの間にか緩み始めます。
そして、緩み始めるとなかなか歯止めがきかなくなります。
一方、内装をはじめ、テーブルやイス、食器など、モノはすべて使用期間相応に傷んできます。
クレンリネスを心がけていても、新品の状態を維持することは不可能です。
しかし、壁紙がはがれていたり、テーブルやイスががたついていたりしては、お客様はとても豊かで楽しい気分にはなれません。
このように、雰囲気づくりにはさまざまな要素が絡んできます。
そして、最も大切なことは、常に「お客様第一主義」で考えることです。
飲食店開業後、すぐにスタートダッシュを切るために
飲食店の基本は、お客様を喜ばせ感動させることにあります。
料理も内装もスタッフも、すべてそのために整備する必要があります。
つまり、お客様の立場で考えれば、おのずと必要なことは見えてくるというわけです。
お客様に喜ばれるお店をつくり、有名店の店主になってくださいね。