居抜き店舗を活用すれば、新店舗をつくるより格安で飲食店をオープンできます。
しかし、居抜き店舗の活用法を知らないと、その良さを十分に発揮することができません。
そこでここでは、居抜き店舗を徹底的に活用する方法をたくさん紹介したいと思います。
ぜひ参考にして、飲食店経営で成功を掴んでください。
簡単に前店舗と差別化する方法
新しくオープンするお店の強みは、その「新しさ」にあります。
お客様は、常に飲食店に新鮮さを求めています。
これまでにないお店、変わったお店、おもしろい特徴のあるお店を探しているのです。
いいお店なら、誰でも少しは知っています。
それでも、わざわざ話題のお店に行くのは、自分の知らないお店を体験したいという気持ちが強いからです。
つまり、居抜き店舗でオープンする場合も、「新しさ」をアピールすることは強力な差別化とアピールの武器になります。
前のお店と同業種同業態で店舗を流用している場合も、中身が違うことをお客様に明確に知らせる必要があります。
これは、別に難しいことではありません。
前のお店に何かプラスアルファを付け加えればいいのです。
例えば、ちょっとした家具や飾りを置くだけで店内の印象は変わります。
殺風景で冷たい印象の店内でも、生花を飾ったとたんほどよい華やかさと温かみのある雰囲気に変わるのです。
もちろん、資金的に余裕があるなら内外装に手を加えた方がいいでしょう。
しかし、大事なのは、お店のイメージを変えるための発想なのです。
お客様のハートをとらえるプラスアルファは、店舗のつくりだけではありません。
メニューにおいても、前のお店との違い、新鮮な魅力を表現しなくてはなりません。
1つでもいいのでオリジナルメニューを打ち出すことができれば、お客様は中身の違いをはっきりと理解してくれるでしょう。
成功に不可欠となる立地を見る目の養い方
成功するための第一の基本は、立地の選定とその立地特性への適応力です。
いかに立地にマッチした業種業態のお店をつくるかが重要で、確実に成功するには立地を正しく診断する目が不可欠になります。
では、どのように診断すればいいのでしょう。
これは二つの視点で考える必要があります。
まず、自分の出店したいお店の業種業態が決まっている場合、ターゲットとなる客層が十分にいるかどうかが最大のポイントになります。
立地調査においては店前通行量調査を行いますが、大事なのは数ではなくどんな層の人が多いかなのです。
逆に考えると、どんな客層と利用動機が多いのか正確に掴むことで、その立地に適した業種業態を決めることができます。
これがもうひとつの視点です。
つまり、自分のやりたい業種業態があるのなら、それに適合する立地を探し出さなければなりません。
実際、物件探しに1年以上もかけた繁盛店も少なくありません。
このようなお店は、中途半端な妥協をせずに適合立地を探し続けたから成功しているのです
物件探しをしていると、不動産業者が「お薦めの物件」をアピールしてくることもあるでしょう。
しかし、その言葉を鵜呑みにしてはいけません。
なぜなら、不動産業者のいうことはあくまで一般論で、特定の業種業態の立地について精通しているわけではないからです。
立地条件の診断では、土地勘をつかめるかどうかが非常に大事なポイントになります。
不動産業者の話で判断するのではなく、オープンするお店の業種業態を前提にした自分の頭で診断しなくてはなりません。
土地勘をつかむには、とにかく足を使いましょう。
何度もその場所に通い、物件の周辺をくまなく歩いてみることで、自然と町の様子が見えてきます。
次に、町を観察するポイントを挙げていきましょう。
特に注意して見るべきポイントは以下の通りです。
・どんな業種業態のお店が多いのか、逆に少ないのか
・それらのお店の競合の状況はどうか
・どんな人たちが多く歩いているのか
・時間帯や曜日によって客層はどう変化するのか
・主要な客層から考えて、あってもよさそうな業種業態は何か
これらのポイントを頭に入れて町を歩いてみると、景色がまったく違って見えます。
こんなところにお店があるとか、あっていいはずの場所にないとか、この業態のお店はこの場所では厳しいと思うなど、飲食店立地として町を見る目を養うことができるのです。
飲食店ビジネスは、確実にお客様を呼び込むことができなければオープンする意味がありません。
そのためには、オープンする場所と立地条件への適応力が非常に重要です。
この二つをクリアしないでオープンすることは、無謀といっても過言ではありません。
居抜き店舗はほとんどの場合、前の経営者が失敗した店舗です。
それを活用して成功するためには、立地を見る目はシビアで正確でなければならないのです。
これがクリアできるからこそ、低投資での成功を実現できるのです。
成功できる商圏を見極める方法
飲食店で確実に成功するためには、お店の商圏をきちんと理解しておかなければいけません。
商圏を理解していないと、どこの誰に自店をアピールすればいいのかわからないのです。
商圏とは、お客様を呼び込むことができる範囲のことです。
つまり、お店に来店するお客様が住んでいたり勤めていたりする地域のことです。
その範囲内の地域であれば、お店を利用してもらえる可能性があるというわけです。
商圏の範囲を掴まないことにはお店に対するニーズの規模を掴めないため、成功に最も重要なポイントも判断できません。
次に、商圏の範囲を具体的に考えてみましょう。
一般的に商圏は、お店からの距離とエリア内の人口で表されることがほとんどです。
しかし、距離を基準にするのには問題があります。
なぜなら、お客様が飲食店を決める時の基準は、お店までの距離ではなく所要時間だからです。
例えば、徒歩と自転車を比べると、同じ所要時間でも進む距離は全然違います。
そして、お客様は必ず徒歩で来店するとは限りません。
特に通勤・通学途中のニーズを取り込むには、交通手段も考慮に入れなければならないのです。
そのため、商圏の範囲は自店からの時間と人口で測るほうが正確なのです。
また、商圏の広さはお店の価格設定と密接に関係しています。
お客様は、予算によって利用するお店の業態を決めます。
そして、特別な利用動機の場合は、多少遠くても利用したいお店に行くのです。
反対に、毎日のランチなどの場合は、とりあえず手近なお店で済ませてしまいます。
利用動機による違いは、お店の利用頻度の違いでもあります。
非日常的利用動機で利用する価格の高いお店は、お客様の利用頻度は当然低くなります。
反対に、価格の低いお店になればなるほど、お客様の利用頻度は高くなります。
そのため、価格の高い業態になるほど商圏を広く設定する必要があります。
反対に、価格の低い業態なら狭い商圏でも十分に成り立つのです。
さらに、商圏の範囲は商品の特性によっても変わります。
例えば、ステーキ店や焼肉店のようにヘビーな料理を出すお店は、お客様の来店頻度が低くなるので商圏は広く設定する必要があります。
対して、ラーメン店などのように日常的利用動機を狙う商品のお店の場合、来店頻度は高くなるので狭い商圏でも成り立ちます。
商圏を考える上で、注意すべきことが一つあります。
それは、商圏内の同業態店はすべて競合店になるということです。
同業種のお店だけが競争相手ではありません。
客単価が同じ業態のお店は、業種にかかわらず全てライバルになるのです。
しかも、商圏は価格が低くなるほど狭くなり、同一エリア内での出店数は増える傾向にあります。
なぜなら、利用動機が日常的であるほどお客様の利用頻度が高くなり、ニーズが豊富になるからです。
ニーズが豊富でも、競争が激しければ成功の確率は低くなります。
なぜなら、多数の競合店による価格競争が起こるからです。
そのため、居抜き店舗を活用する場合でも、業態は商圏内の競合状況をよく考えて決めなければいけません。
そのエリアで最も手薄な業態を見つけることができれば、成功する可能性は高まります。
二等地が一等地に勝てる理由
飲食店の立地には、一等地と二等地の区別があります。
なぜ区別されているかというと、飲食店の経営は立地の優劣に左右されやすいからです。
そして当然、一等地と二等地ではテナント物件の家賃や保証金が大きく違ってきます。
確かに立地がよければ、成功する確率は高まります。
しかし、一等地だからといって、100パーセント成功できるわけではないのです。
実際、繁華街の一等地にありながら繁盛していないお店は珍しくありません。
反対に、不利な立地でも大繁盛しているケースもたくさんあります。
このことからも、立地は飲食店の経営を左右する大きな要素ですが、成功を決定するものではないということです。
飲食店の成功に、最も大きな影響を及ぼすのはお店の魅力です。
魅力あるコンセプトがあり、それがアピールできていれば、二等地でも繁盛することはできるのです。
一等地でも繁盛できないのは、お店がお客様に選ばれるだけの魅力がないからです。
また、立地によって、発生する利用動機や客層も異なります。
業種業態によって成功しやすい立地もあれば、成功しにくい立地もあります。
つまり、一等地、二等地というのは、あくまで大ざっぱな評価にすぎません。
そして、すべての業種業態に適合する立地はありえないのです。
大切なことは、自店のコンセプトに合致するかどうかという一点になります。
そのため、コンセプトにぴったり合うのなら、家賃や保証金が多少高くても仕方がないと考えることもできます。
ただし、居抜き店舗を活用する場合、コンセプトと合致する立地を探すのは新店舗の場合に比べて難しくなります。
どうしても新店舗の数の方が多いため、立地の選択肢の幅は広くなります。
しかし、諦めることはありません。
立地に合う物件が見つからないなら、立地に合ったコンセプトを組み立てればいいのです。
一等地が有利といわれる理由は人が多いからです。
人がたくさんいれば有利に見えますが、必ずしもそうではありません。
なぜなら、人が多ければ出店数も増え、それだけ競争が激しくなるのです。
また、一等地は家賃・保証金が高くなり損益分岐点も高くなります。
そのため、ある程度の客数では、経費に足を引っ張られて利益が残らないということになりかねません。
一方、二等地の場合はその反対となります。
家賃や保証金の負担が小さいため、小さな売上高でも利益を出しやすいのです。
なぜ人が集まる繁華街で成功できないのか
繁華街とは、人がたくさん集まる街のことです。
そして人が集まれば、その人たちを目当てに様々な商業施設も集中します。
飲食店もそのひとつで、どこの繁華街でも飲食店はいくらでも見つかります。
繁華街に来た人には共通点があります。
それは、わざわざ出かけてきたということと、必ずといっていいほど外食をすることです。
しかも、普段よりも予算が高い人がほとんどです。
つまり、非日常的利用動機も豊富に存在しているのです。
繁華街のもうひとつの特徴として、土地カンのない人が多いということがあります。
デパートや映画館ならどこにあるか知っていても、たまにしか来ないのだから飲食店の利用経験は極端に少ないのです。
そのため、飲食店のお客様の大半はたまたま入ってくれるお客様になります。
普通の立地なら、このようなお客様を固定客につなげることもできます。
しかし繁華街の場合、ほとんど再来店は期待できません。
それでも繁盛しているお店が多いのは、人の数が圧倒的に多いからなのです。
また、街の様子をよく知らない人の行動パターンとして、名声に弱いということがあります。
名前の通ったお店なら安心という心理が働くのです。
そのため、有名チェーンや大型店が有利となり、一般のお店は不利になるという傾向が強くなります。
しかも、気軽に利用してもらえるのは、メインストリートに面した立地がほとんどです。
路地に入ったとしてもせいぜい1、2本まででしょう。
路地裏に入ってしまえば、繁華街らしい人通りを望むことはできません。
このような理由から、一般の小さな個人点にとって、繁華街はけっして有利な立地とはいえません。
もちろん成功例もたくさんありますが、成功のハードルは非常に高いということは忘れないでください。
高い家賃や保証金を払ってまで、出店するメリットはほとんどありません。
あえて小さな個人店の狙い目を探すなら、デパートなどで働く人たちをターゲットにすることくらいといえるでしょう。
商店街で成功するための大原則とは?
ここでは、小さな飲食店が出店しやすい、駅前商店街について考えていきましょう。
商店街は飲食店に限らず、小さなお店にとって典型的な立地となります。
様々な商店がありますが、主としてその地域の住民と、近くに職場や学校のある人たちが利用するお店ばかりになります。
商店街は地域のニーズのある商店、飲食店が集まっているため、メインストリートは人通りが多くなります。
その意味では、繁華街に似ているようにも見えます。
しかし、繁華街と商店街には決定的に違う部分があります。
それは、商店街のお客様には土地カンがあるということです。
当然ですが、地元の人たちの生活圏内にあるのです。
しかも、繁華街と同様に客層は幅広く、いろいろな商店、飲食店が成り立ちます。
だからこそ、無名の小さな個店が出店しやすいのです。
そのため商店街では、地元密着の営業方針が大原則になります。
地元密着は小さな個人店の成功のポイントでもありますが、特に商店街では、地元客の評判を取って固定客化することが成功の最大のポイントといえるのです。
次に、商店街に適した業態を考えていきましょう。
まず、繁華街のような非日常的利用動機は少ないということに注意が必要です。
商店街はあくまで、地元の人たちの生活の場です。
そのため、お客様の単価はそれほど高くありません。
たまにちょっと贅沢するとか、応接間代わりに利用するといった、気軽な利用動機がほとんどなのです。
そのため、商店街で高級業態は成立しにくいといえます。
価格設定はあくまでポピュラープライスの範囲内に収めて、なおかつ非日常的な利用動機にも対応します。
このようなお店を作ることができれば、成功しやすいといえるでしょう。
ただし、日常的利用動機狙いの場合は、有名チェーン店や大型店とバッティングすることも考えられます。
そこは慎重に検討しておく必要があるでしょう。
また、土地カンのある地元客が相手となるため、商店街の中心部にこだわる必要はありません。
裏通りとか路地裏といった二等地でも、やり方次第で十分に成り立ちます。
ただし、一般の商店街の場合、一等地でも家賃や保証金が極端に高いわけではありません。
それなら、無理のない範囲内で、できるだけ有利な立地を確保することもできます。
オフィス街の制約を跳ね除け繁盛する方法
オフィス街は、飲食店立地として非常に特殊な特性を持っています。
まず、その特徴から見ていきましょう。
オフィス街にいるのは、そこの企業に勤めるサラリーマンやOLなど、エリア内の企業に関わる仕事をしている人が大半を占めます。
一般の人がわざわざ出かけてくる地域ではありません。
これがまず、繁華街や商店街との大きな違いになります。
また、企業活動がメインの街のため、平日は人がたくさんいても、週末や休日は閑散としてしまいます。
時間帯で見ると、昼間の人口は非常に多く、夜間の人口は極端に少なくなります。
同時に、飲食店の利用動機が発生する時間もほぼ限られます。
そして、地元の住人は非常に少ない、これがオフィス街の通常のパターンです。
そのため、繁華街や商店街と単純に比較すれば、飲食店立地として非常に不利に見えます。
しかし、オフィス街にはオフィス街のメリットがあります。
そのメリットを上手に取り込めば、繁盛店をつくることも十分可能です。
まずオフィス街は、客層が固定されています。
しかもその客層は、朝から夕方までの時間帯は確実にエリア内にいてくれるのです。
そのため、一定の客数を見込みやすく、固定客がつくりやすいというメリットがあります。
では、デメリットはどんなことが考えられるでしょう。
まず、最も大きいのは、営業日数が限定されてしまうことです。
オフィス街で商売になるのは週に5日間、多くても土曜日を入れた6日間です。
飲食店にとって最も稼ぎ時の日曜と祭日は商売になりません。
また、営業時間もかなりの制約を受けます。
オフィスが昼休みとなるランチタイムはお客様が集中しますが、その後時間帯は、集客しようがありません。
夜の時間帯も、有利とはいえません。
なぜなら、仕事の終わったサラリーマンやOLは、いつまでも会社の近くにいないからです。
同僚と帰りに飲むとしても、周辺の繁華街に流れてしまいます。
また、家賃や保証金が意外と高いということも忘れてはいけません。
地価が高いため、特に新しいビルのテナントとなると、結構な金額がかかってしまいます。
このような理由から、オフィス街で成功するためには、制約要素をメリットに変えてしまうコンセプトが不可欠になります。
例えば、週に5日間しかないと思えば不利になりますが、週に5日間で成り立つビジネスと考えたらどうでしょう。
サラリーマンと同じ週休2日を実現できるのです。
客層が決まっているということは、ターゲットを絞り込みやすいことでもあります。
固定客をつくりやすいため、売上を安定させることも難しくありません。
限られた営業日数と時間で成り立つためには、坪効率の高いコンセプトを組み立てる必要があります。
勝負の時間帯はランチタイムで、この時間を最大限に活かす必要があります。
例えば、弁当のテイクアウトや出前を導入してもいいでしょう。
稼げる時に徹底的に稼ぐ方針を決めることが大切です。
一方、夜の時間帯は、繁華街のお店との違いをアピールすることがポイントになります。
業態としては、いつでも気軽に利用できる低価格帯でのお店がいいでしょう。
お値打ちで落ち着くお店という評判が広まれば、十分成立します。
次代の新しいニーズ住宅地の取り込み方
かつては飲食店の成り立たない立地とされていた住宅地ですが、最近では飲食店の成功事例が増えてきています。
あえて住宅地に出店するケースも少なくありません。
住宅地で飲食店が成り立つようになった理由は、お客様が外食に慣れたことにあります。
最近のお客様にとって大事なことは、おいしいお店、楽しいお店であることです。
場所は大した問題ではなくなっているのです。
しかも、自分の家の近所にあるのなら利便性も高いといえます。
また、お店にも覚えてもらいやすいため、行きつけのお店をほしがる消費者のニーズにも合致しています。
個性のあるお店が求められているということは、小さな個人店にとってプラスとなります。
そして住宅地は、その変化が掘り起こした立地ということができるのです。
住宅地といっても、古くからの住宅地と、新興住宅地に分かれます。
そして、飲食店の立地として有望なのは新興住宅地です。
なぜなら、新興住宅地のほうが住人の年齢層が低い傾向が強く、外食への依存度も高くなるからです。
また、年齢が若いほど外食の楽しさをよく知っていて、より気軽に飲食店を利用する傾向も強くなります。
住宅地は、駅前商店街の飲食店が競合店になると思われかちですが、意外とそうでもありません。
理由は、住人がターゲットだからです。
通勤客なら駅からの距離が問題になりますが、住人の場合むしろ自宅に近くなる場合もあります。
また、自分の地元という意識が強いため、わざわざ歩いて行くことに抵抗感がないのです。
もちろん、店前通行量は期待できないため、お客様を呼び込めるだけの魅力が必要になります。
逆に考えると、実力のあるお店なら、余計な競合を避けて安定した経営がしやすい立地ともいえるでしょう。
しかも、この立地は商業立地ではないため、家賃や保証金を安く抑えることができます。
問題はテナント店舗があるかどうかで、居抜き店舗の場合はさらに範囲が制約されます。
ファミレスに勝てるロードサイド店のつくり方
最近、特に都市近郊のエリアでは、郊外型の大規模なスーパーやショッピングセンターが次々にオープンし、マイカー利用の郊外型の行動パターンがどんどん増加しています。
そのため、ロードサイドの飲食店立地としての可能性はどんどん大きくなっています。
ロードサイド立地というと、ファミリーレストランなどの大手チェーンの独壇場と思われがちですが、実はそんなことはありません。
最近はロードサイドでの成功例も増えてきています。
最近、ファミリーレストランに勢いがないのは、何から何まで画一的なチェーンにお客様が飽きてしまったからです。
ファミリーレストランしかなければ利用しますが、他にもっと個性的で楽しいお店があれば、そっちに行きたいと思っているのです。
だから、お店のよさをアピールするお店づくりができれば、ロードサイドでも十分に個人店が成り立ちます
ただし、ファミリーレストランに学ぶべきこともたくさんあります。
その一つが看板です。どのファミリーレストランも、かなり遠方からでも見分けのつく、大きな見やすい看板を出しています。
これにはちゃんと理由があり、車はスピードを出して走ってきます。
そして、車は急には止まれません。
つまり、車のお客様にお店の存在に気づいてもらうには、看板の遠視性が非常に重要になるのです。
ただし、このような看板にはお金がかかります。
この投資ができないのであれば、ロードサイドでの出店はやめておくべきです。
とにかく遠くから目立つことに全力を傾けなければ成功はありません。
この立地の最大のポイントは、お店の前のクルマの通行量です。
近隣に住宅地が控えていれば、地元住人の来店も見込めますが基本は車利用客です。
ある程度の通行量がなければ成り立たないのが、ロードサイドの最大の特徴です。
そのため、店前通行量調査は念入りに行う必要があります。
そして、この時に注意しなければならないのは、自店を利用できる車の通行量を調べることです。
例えば、中央分離帯のある道路の場合、反対車線の車はお客様になりません。
分離帯がなくても、通行量の激しい道路の場合、反対方向の車はほとんどお客様になりません。
また、十分な駐車場のスペースも確保しておく必要があります。
掘り出し物が見つかる立地調査の具体的なやり方
立地調査の目的は、立地の条件が自分の考えるお店のコンセプトに合致しているか判断することです。
そして、居抜き店舗を活用する場合、2つの視点で考える必要があります。
一つ目は、前のお店の業種業態がその立地に適合していたのかという視点、もう一つは、その立地で成功しやすい業種業態は何かという視点です。
居抜き店舗のほとんどは、前のお店が経営に失敗して撤退した店舗です。
そこで確実に成功するためには、その失敗の原因を分析し、最適な業種業態を選択しなくてはならないのです。
立地調査は二つの段階に分けて行います。
まず、マクロの視点から立地の性格を大まかに掴みます。
次に、その店舗物件に適合する業種業態を検討して、総合的に判断していきます。
マクロの視点の調査では、まず物件を中心に商圏を設定します。
商圏の範囲は前のお店の業態の範囲からスタートし、その業態に無理があると判断したら、自分の考える業種業態で設定しなおす必要があります。
商圏は物件から周辺に向かって、一次商圏から三次商圏まで設定します。
標準所要時間の半分のエリアを一次、ぎりぎりのエリアを二次、二次商圏の1.5倍程度の所要時間のエリアを三次商圏とするといいでしょう。
調査は、この商圏内をくまなく歩いてみることからスタートします。
それも、いろいろな曜日、時間帯、天気と条件を変えて歩きます。すると、その街の様子や人の動きを大まかに掴むことができます。
次に、地元の役所や商工会などに出向き、人口動向や消費水準、職業構成などを調べます。
とくに事業所は、一軒で多数の人数がいるため注意して調べる必要があります。
また、立地条件は再開発や大型商業施設のオープンなどに大きく左右されます。
そのため、街の将来像を自然に掴んでおくことも非常に大切な調査になります。
さらに、商圏の内外にどんな飲食店が何軒営業しているのかも調査します。これがマクロの視点の調査です。
街の様子が大体掴めたら、次は物件自体の調査に移ります。
この調査は店前通行量調査が中心ですが、単純に一日の通行量を調べればいいというものではありません。
自店のターゲットの数を調べなければ意味がないのです。
店前通行量調査は一時間ごとに区切り、予定している営業時間帯の前後一時間まで調べます。
ただし、通常の飲食店ならカウンターまで使用する必要はありません。
人数は概算でいいので、男女別、年齢別、職業別といった客層の特徴を正確に掴むようにします。
また、飲食店の売上は曜日に大きく左右されるので、平日、土曜日、日曜の3回は最低でも調査する必要があります。
もうひとつ重要な調査は競合店調査です。店舗の立地条件に問題がなくても、有力な競合店がたくさんいると大変です。
マクロ視点の調査で、ある程度の競合店を掴むことができますが、最後にもう一度、綿密な競合店調査をする必要があります。
競合店と思われるお店は、お客様として利用してみるといいでしょう。
実際に商品を食べてみることで、そのお店の実力もわかり、お客様が求めているお店像も掴むことができます。
立地において場所以外に重要なものとは?
立地条件で注意しておきたいのは、必ずしも平面の条件だけではないということです。
平面というのは、駅からの距離や商店街の位置など通常の立地条件のことです。
そして、テナントビルに出店する場合タテの条件が加わります。
つまり、一階、二階、それ以上の上層階、そして地下という条件です。
もちろん階数によって、家賃や保証金も異なります。
ただし、ここで大事なのは家賃や保証金が安いということではありません。
いくら安くても成功できなければ意味がないのです。
物件のある階数が、自分の考えている業種業態に適合しているか診断しなければなりません。
もしくは、その階数で成り立つ業種業態を判断する必要があります。
立地調査は場所だけでなく、タテの立地条件も含めて、物件そのものと業種業態との相性を的確に判断する必要があるのです。
さらに、もうひとつ注意しておきたいのは物件の使い勝手です。
店内の形状や間口の広さなどは、非常に重要なポイントです。
例えば、正方形に近い店舗とカギ型に折れている店舗では、席の取り方が違ってきます。
また、厨房のレイアウトによっては、オープンキッチンにできないなどの支障が出てくることもあります。
その他、看板やサンプルケースの設置方法、ガス・水道・電気の容量、食材の搬入やゴミ出しなどの条件についても、細かく確認する必要があります。
押さえておきたいタテ方向の立地条件
同じビルであっても、一階、二階、地下の店舗適性はかなり異なります。
通常の評価では、一階は一等地、二階と地下は二等地となります。
なぜなら、新規客へのアプローチの条件がまったく異なるからです。
これを、立地内立地といいます。
まず一階の路面店舗の場合、アプローチの距離はほとんどありません。
そのため、通行人が抵抗なく入りやすいというメリットがあります。
また、目立ちやすく遠くからも見えるメリットもあります。
一方、二階と地下は一階に比べて不利といえます。
どちらも階段を使うことに抵抗感が生まれ、アプローチの距離も遠くなります。
また、どうしても道路からは目立ちません。
しかし、悪いことばかりでもありません。
二階は道路の喧噪から隔離され、地下は隠れ家的な雰囲気を演出できるメリットもあるのです。
最も安く居抜き店舗を手に入れる交渉術
居抜き店舗を借りる場合、一般の新店舗よりも賃貸条件はかなり安くなります。
しかし、安いものには必ず理由があります。
居抜き店舗が安いのは、失敗したお店というマイナスイメージがあるからです。
マイナスイメージがあるため、借りたいと思う人が少ないのです。
そのため、家主としても家賃や保証金を下げざるを得ません。
多少安くしても、テナントが決まらないよりはいいのです。
また、前の経営者は造作譲渡代金によって、少しでも失敗の穴埋めをしたいと思っています。
だから安く設定されているのです。
不動産業者との交渉では、最初に提示された金額を鵜呑みにしてはいけません。
とりあえず物件を決めたら、手付金はできるだけ早く打つようにします。
なぜなら、手付金は業者との交渉権を確保するためのものだからです。
また、物件を決めると焦って本契約をしてしまいがちですが、それでは有利な条件を引き出すことができません。
実際の交渉では、物件自体のマイナス面を指摘していきます。
そのため、本格的な交渉に入る前に、前の経営者が失敗した原因をしっかりと分析しておく必要があります。
その上で、マイナスイメージの店舗でオープンすることの難しさを訴え、リスク回避のために値下げしてほしいと交渉していきます。
ただし、マイナス面を指摘するといっても高飛車に出てはいけません。
交渉とは、お互いに条件や要求を出し合い、話し合いながら両者の落としどころを探ることです。
もちろん、少しでも有利に持っていかなければいけませんが、一方的に要求しても相手は納得してくれません。
マイナス面はあるが、それを自分の経営努力でカバーしていくという姿勢を示すことが大切です。
また、交渉は家主の代理人である業者とするのが普通ですが、家主に会わせてもらうのもいい方法です。
物件にこだわっている理由や、飲食業に対する情熱を交えて訴えるのです。
家主としても、多少の金額よりも信用できるテナントの方が安心できるものなのです。
前店の内外装の上手な活用方法
居抜き店舗を活用する場合、内外装は前のお店のものをできるだけ活かす必要があります。
それにより、店舗の工事期間を大幅に短縮することもできます。
これも、居抜き店舗の大きなメリットです。
店舗の工事中には、すでに家賃が発生しています。
工事が長引くと、無駄な家賃を余分に払わなければならなくなるのです。
では、前のお店の内外装を上手に活かすにはどうすればいいのでしょう。
その基本は、お店の構造を変えないことです。
特に傷んでいないのなら、全てそのまま活かす方向で考えます。
大事なことは、活かすために工夫をすることです。
多少の手を入れるとしても、新しくつくり直すのではなく、ちょっと修正を加えるという発想が必要です。
また、内装を長く持たせたいという考え方も捨てた方がいいです。
店舗は基本的に、一定の期間で償却していくものです。
そのため、税法上も減価償却が認められています。
飲食店で最悪なのは、いつまでも同じ店舗のまま営業し続けることです。
これでは時代の変化やニーズの変化に取り残されてしまいます。
大事なことは、お客様に楽しさや居心地のよさを感じてもらえる店舗にすることです。
その一点に集中して、いろいろと工夫する必要があります。
お客様を引き寄せる効果的なイメージチェンジ
居抜き店舗活用の基本は、できるだけ前のお店の内装を活かすことです。
しかし、ただ前のお店の店舗を流用するだけでは活かすことができているとはいえません。
そこで、お客様の視点に立って考えてみましょう。
お店づくりで最も大事なことは、お客様から見てどういうお店に映るのかということです。
せっかく自分のお店をつくるのだから、自分の趣味や好みを反映させたい気持ちもわかります。
しかし、それがお客様にとって「いいお店」でなければ意味がないのです。
つまり、居抜き店舗であるか、新店舗であるかということも、お客様にとっては関係ありません。
お客様にとっては、そのお店が新鮮な魅力のあるお店なのかどうかが関心事なのです。
とくに居抜き店舗の場合、前のお店が撤退した店舗を活用します。
そのため、前のお店のイメージを引きずったままでは、お客様の目には新しいお店と映りにくいといえます。
特に、店舗に対する悪いイメージがどこかに残っていたら、自然とそのお店を敬遠するようになってしまいます。
なんとなくでも嫌な感じのするお店を、わざわざ利用することはありません。
そのため、居抜き店舗の活用では余計なお金はかけずに、お客様に「新しいお店」と認められる工夫をする必要があります。
つまり、効果的な店舗のイメージチェンジです。
お金をかけないためには、内装業者に依頼するものを徹底的に絞り込みます。
とにかく、改装する部分をできるだけ少なくしていきます。
そして、どうしても改装する必要がある部分は、材料よりもデザインを大事にすることがポイントになります。
安い材料でもデザイン次第で「いいお店」はつくれるのです。
また、お店のイメージチェンジでは、家具や装飾品、置物、花などの小物類が大きな効果を発揮します。
安上がりな上に、自由のきく小物類のほうが、イメージに変化をつけやすいのです。
お客様の目に留まる看板のつくり方
飲食店で成功するためには、目立たなくてはなりません。
なぜなら、一人でも多くの人に、自店の存在を知ってもらう必要があるのです。
お店の存在を強烈にアピールしなければ、たくさんのお店のなかに埋もれてしまいます。
お店をアピールするために必要なのが看板です。
看板の重要性に気づくかどうかで、成功の確率も大きく変わってきます。
多くの飲食店経営者が陥りやすいのは、自店は知られているという錯覚です。
看板も出しているから、ちょっとよく見れば、気づいてくれると思ってしまうのです。
しかし、道を歩いている人は、周りの景色などあまり注意して見ていないものです。
自然に目に飛び込んできたもの以外には、ほとんど興味を示しません。
どこのお店にしようかと迷っている人でさえ、全てのお店を確かめているわけではありません。
通行人は、看板を見てはじめてお店の存在に気づきます。
つまり、看板が目に止まらなければ、お店はないも同然なのです。
そのため、看板を目立たせ、通行人に自店の存在を意識させるということは、成功の第一歩ということになります。
看板でもっとも大切なことは、遠くからでもお店を識別できることです。
通行人は、遠くから見えているからこそ、お店のことが気になります。
お店の正面で気づいても、迷っているうちに通り過ぎてしまうのです。
そして、いったん通り過ぎたら、二度と戻ってきてはくれません。
居抜き店舗を活用する場合でも、看板にはかけるべきお金をかけなくてはいけません。
そして、最も目につく位置を研究し、遠視性にすぐれた看板にしなければなりません。
とくに小さなお店の場合、お店の間口が狭いためお客様の目に入りにくくなります。
二階や地下への出店だと、ますます不利です。
しかし、効果的な看板を作れば、その不利も十分にはね返すことができます。
お客様が安心して入店できる外観とは?
お店の外観はお店の顔といえます。
つまり、お客様に対して最もインパクトがある部分になります。
人間で考えると、初めて会った人がどんな人か判断する時、顔の持つ役割は非常に大きくなります。
顔を見た第一印象から、その人の人柄が読み取れるからです。
人間は、自分の第一印象を無意識に優先する傾向にあります。
だから、初対面の人でも対処の仕方が異なるのです。
お店の場合も同じです。初めて利用する人にとって、お店の第一印象は非常に大きな意味を持ちます。
看板が目に止まったからといって、必ずお客様になってくれるとは限らないのです。
なぜなら、初めてのお店というのは不安なものだからです。
その不安をなくし、さらに「入ってみたい」と思わせることが店舗の外観の役割なのです。
前のお店を活用する居抜き店舗の場合、外観はさらに重要な役割を担うことになります。
前のお店のイメージを感じさせない、新しいお店としてのアピールカを持たせる必要があるのです。
お客様が入りたくなる外観は、まず感じのよさが必要です。
デザインはお店の業種業態によっていろいろ変わりますが、どんなデザインであろうと、お店への期待感を持たせられる外観でなければなりません。
期待感を持たせるには、第一印象の感じがよくなければいけません。
そのため、デザイン的なセンスのよさも不可欠になります。
また、看板と同様に目立つ外観にしてお客様の目を引きつけることも大切です。
外観の改装では、見た目の印象を思い切って変えることが基本になります。
「新しいお店」であることを強烈にアピールすることで、前のお店の記憶を消してしまうことができます。
とは言え、必ずしも大袈裟な工事が必要になるわけではありません。
壁を塗り替えたり、入口付近だけ手を入れたり、部分的な改装だけでも別のお店に見せることは十分可能です。
サンプルケースが必要な理由
飲食店のよさは、利用してみてはじめてわかります。
例えば、知人から聞いたお店であっても、実際にサービスを受け、料理を食べて、店内の雰囲気を味わってみなければ、本当のところはわかりません。
そのうえ、ほとんどのお客様は何の予備知識もない人です。
つまり、お客様になってほしいのなら、自店のよさを知らせる努力が必要です。
いくら見た目がよくても、不安を感じさせてしまうようなお店では、知らない人が利用してくれるはずがありません。
そして、お客様が最も不安に感じるのは価格と商品の内容です。
お客様のお店選びは、その時の利用動機によって変わります。
そして、利用動機によって予算が決まります。
つまり、予算を立てられないようなお店では、安心して利用できないのです。
また、自分が食べたい料理があるかも、外観だけではわかりません。
繁盛できないお店とは、このような不安を抱かせてしまうお店です。
この不安を払拭するものがサンプルケースです。
サンプルケースを設置する場所がない場合は、メニュー表を掲示すればいいのです。
ただし、サンプルケースやメニュー表は、価格とメニューの内容を知らせるためだけのものではありません。
もうひとつの役割は、それを見せることによって消費意欲を刺激することにあります。
そのため、サンプルケースやメニュー表には、清潔感とセンスのよさが求められます。
季節感を上手に取り入れるなど、工夫できることはたくさんあります。
元の店舗を活かした厨房作りのポイント
居抜き店舗の場合、厨房を改装することはできれば避けたいところです。
しかし、前のお店の業種や、劣化具合により事情も変わってきます。
前のお店が自分のやろうとするお店と同じ業種業態だった場合、基本的には譲り受けた厨房をそのまま使用できるでしょう。
しかし、長年営業していたお店の場合、設備機器類の性能が落ちていたり、使い勝手が悪くなっていたりすることも十分にあり得ます。
このような場合、新たに購入するしかありません。
一方、業種業態を変える場合、厨房の設備機器類も変更する箇所が出てくるでしょう。
しかしその場合でも、使えるものはできるだけ使う必要があります。
厨房は、必要な設備機器類が揃っていればいいというものではありません。
働きやすい厨房にすることも重要です。
居抜き店舗を活用する場合は、働きやすい厨房をつくるには工夫が必要になります。
例えば、調理台の高さが低い時は台の高さを調節する工夫が必要になります。
少しでも使いやすい厨房にするため、知恵を働かさなければいけないのです。
ただし、排気に問題がある場合は、きちんと改装しなければなりません。
また、厨房内の空調にも十分気を使う必要があります。
冷暖房がちゃんと効かないと、長時間の労働が続かなくなってしまいます。
厨房は、特に必要なものを明確に区別してつくることが大切です。
お客様に選ばれる客席ホールのつくり方
客席ホールはお客様の目に直接触れる部分です。
そのため、居抜き店舗の場合は外観と同様に、新しいお店がオープンしたことを明確にアピールしなければなりません。
客席ホールの改装のポイントは以下の2つです。
・できるだけお金をかけずにイメージチェンジする
・できるだけお金をかけずに居心地をよくする
これを言い替えれば、できるだけ内装業者に依頼しないで済ませるということになります。
まずイメージチェンジですが、思い切って店内の色を全面的に変えるという方法があります。
例えば元の店舗が、床は板張りで壁と天井は明るいベージュ系なら、床、壁、天井をすべて真っ黒のペンキで塗ってしまってもいいのです。
照明の照度が低い業態なら、多少の塗りムラやデコボコはデザインのひとつに見えてしまいます。
また、カーテンの色を変えるなど、店内のポイントとなる部分の色使いを変えるだけでも、インパクトを持たせることができます。
一方、居心地については客席レイアウトの見直しが大切になります。
本来、客席レイアウトで最も重要なことは、必要な席数を確保することです。
必要というのは、売上計画を実現するために必要な席数という意味です。
しかし、席数の確保にばかり目が行ってしまうと、肝心の居心地のよさがおろそかになってしまいます。
イスやテーブルを詰め込んでいたら、狭苦しい印象を与えてしまうのです。
また、客席がサービスの動線を邪魔して、非常に使いにくいホールになってしまうこともあります。
とは言え、席数を減らせば、客数が制限されます。
つまり、客席レイアウトの基本は、席数の確保と居心地の確保という2つのテーマの、どの辺で折り合いをつけるかということなのです。
ただし、席数はただ多く取ればいいというものではありません。
客席は実際に稼働してはじめて意味があります。
お客様に利用されない客席を「死に席」と呼びます。
無理して40席を確保しても、10席が死んでいたら実質的には30席と同じことになります。
しかも、最初から30席でレイアウトした場合に比べて、居心地が悪くなってしまうのです。
つまり、お客様の居心地を損なわず、生きた席をできるだけ確保することが不可欠となります。
前のお店のレイアウトでは席数が多すぎるなら、居心地を考えたレイアウトに変更して席数を削ることも考えなくてはなりません。
また、カウンターの下にバッグなどを置ける棚をつくりましょう。
これがないと、イスに荷物を置かれてしまい死に席が増えてしまいます。
また、イスとイスの距離も大事なポイントで、あまり狭いと居心地がかなり悪くなります。
女性からの高感度を上げる意外な箇所
トイレの清潔感は、飲食店で見落としがちな部分です。
しかし、清潔感に乏しいトイレは、お客様に悪い印象を与えてしまいます。
最近は、家庭内のトイレもかなりレベルが高くなっています。
さらに、かつては汚いトイレの代名詞だった駅のトイレも改善が進んでいます。
そんな中、時代に乗り遅れるわけにはいきません。
時代の変化をしっかり掴んでいる飲食店は、「キレイ」からさらに一歩進んで「化粧室」という位置づけで取り組むようになってきています。
女性は、トイレを化粧直しに使うことも多いのです。
そんな時、落ち着いて化粧を整えることのできるスペースがあれば喜ばれるでしょう。
ただし、居抜き店舗の場合、店内の大改装を行うわけにはいかないから限界があります。
しかし、トイレの改善はやらなければなりません。
客室フロアは、多少の汚れがあってもカバーすることができます。
しかし、トイレの汚れはごまかすことができません。
そして、お客様はトイレの清潔感に対して非常に敏感なのです。
これからの飲食店は、女性客にどれだけ支持されるかで成功が決まります。
そして、女性客にとってトイレは、お店の評価の大きな比重を占める要素なのです。
トイレの改装といっても、水回りの工事が伴わなければそれほど大きな投資にはなりません。
仮に予算が足りない場合は、客席フロアの内装工事を一部縮小してでもやっておくべきでしょう。
失敗しない設計施工業者の選び方
設計施工業者選びの一番のポイントは、飲食店の実績が豊富な業者にすることです。
なぜなら、専門の設計士とそうでない設計士とでは、飲食店としての機能性に違いが生まれるからです。
例えば客席フロアを考えても、内装デザインだけならセンスのいいインテリアデザイナーはいくらでもいます。
しかし、客席フロアは、デザインがよければそれでいいというものではありません。
まず、売上計画に基づく必要な席数を確保する必要があります。
また、お客様にとって居心地のいい空間を作ると同時に、サービススタッフが効率的に動ける動線も確保しなくてはなりません。
制約のあるスペースの中で、これら三つを実現するには慣れた専門の業者でないと難しいのです。
居抜き店舗での改装工事の場合、もうひとつポイントがあります。
それは、一部改装でも誠意をもって取り組んでもらえるかどうかということです。
どんなに小さな工事でも一生懸命にやってくれる業者もいれば、小さな工事だからと適当に流してしまう業者もいます。
その見極めが大切なのです。
誠意があるかどうかで工事代金も変わります。
大きな工事なら値引きするのに、小さな工事だと効率が悪いからと高めに見積もる業者もいます。
失敗しないためには、複数の業者に当たり相見積りを取るといいでしょう。
まず予算を正直に打ち明けて、その範囲内でできるだけ手を入れたいということを相談してみましょう。
そして、この段階では、自分の希望を率直に説明しておいたほうがいいでしょう。
打ち合わせが進むと、できることとできないことが明らかになり、代替案も浮かんできます。
また、受注をしても他の下請け業者に丸投げする業者や遠方の業者は避けたほうが無難です。
なぜなら、何か問題があった時に、すぐに対処してもらえないからです。
施工中に現場に顔を出す最大の目的とは?
工事中はできるだけ現場に足を運ぶことが、施工チェックの鉄則です。
居抜き店舗の場合、通常は一部改装の工事です。
新店舗での工事でのような、大掛かりな工事はほとんどなく工事期間も短くなります。
現場に毎日足を運んだとしても、やるべきことがたくさんあるわけではありません。
チェックするといっても、素人の目で判断できることは限られています。
それでもできるだけ顔を出すべきなのです。
実は、現場に顔を出すことの最大の目的は、工事の人たちと親しくなることにあります。
仕事の出来には、人間関係が微妙に影響します。
好感を持っている人の仕事なら力も入りますが、逆の場合はどうしてもいい加減になりがちなのです。
だから工事の人たちと親しくなって、好感を持ってもらうことが大切なのです。
ちょっとしたものを差し入れして声をかけます。たったそれだけでも好感度は違ってきます。
また、工事期間中なら、多少の手直しがききます。
念入りに打ち合わせをしたうえでの設計でも、実際に形にしてみるとちょっと違うということがよくあります。
設計図を見ただけではわかりにくいですが、工事が進んでくると細部まで具体的な完成像が見えてきます。
こういう時、築いてきた人間関係が生きてきます。
ちょっとしたことなら、無料でやってくれることだってあるのです。
店舗引き渡し時のチェックポイント
店舗引き渡し日と店舗の完成日は、必ずしも同じではありません。
一応は工事終了日になっていますが、もし問題があったら完成とはいえません。
つまり、店舗引き渡し日とは、改装工事が予定通りに完成しているかどうかをチェックする日なのです。
設計図、見積書、工程表と突き合わせながら、詳細にチェックする必要があります。
チェックの方法は簡単です。
設計図や見積書と照らし合わせ、実際に使ってみるだけです。
ただし、必ず業者を立ち会わせる必要があります。
問題があった場合の証人になってもらわなければならないのです。
業者不在のままチェックして問題点が出た場合、トラブルの元となってしまいます。
重点チェック箇所は動かす部分です。業者と一緒に、動かせるものはすべて動かすようにします。
自動ドアなど電動のものはスイッチを入れて、何度も開け閉めしてみます。
ドアや窓、戸棚、収納庫、カウンターの出入口など、戸の付いているものもすべてきちんと開け閉めしてみます。
建て付けが肝心なものは、ちょっと試してみるだけではダメです。
ほんのわずかの引っ掛かりがあるだけでも、非常に使いづらいものになってしまいます。
水回りも重点チェック箇所です。
最も多いトラブルは水漏れですが、ただ水を流しただけでは気づきにくいでしょう。
そこで、ある程度の時間水を流しっ放しにして、水漏れがないかどうか点検してみるといいでしょう。
トイレを直した場合も、わずかな水漏れが出る場合があるから注意が必要です。
また、空調関係もトラブルの多い箇所です。特に排気工事をした場合は、実際に何か焼いて確かめてみてもいいでしょう。
また、昼間のチェックで忘れがちなのが照明です。
問題があった場合は、ただちに補修工事に取り掛かってもらいます。
そして、再度チェックを行い、問題がなければ完成になります。
最終的な工事代金の支払いもこの時にするといいでしょう。
最適な営業時間と休日の決め方
営業時間は、自店のコンセプトによって決めるものです。
コンセプトとは、自店を利用してもらう基本方針です。
お店づくりでは、お客様にどのように過ごしてもらいたいのか考え、商品、サービス、雰囲気を決定していきます。
また、業態はコンセプトを具体化するための考え方です。
その基本は、いつ、だれに、何を、いくらで、どのように売るのかということです。
これからわかるように営業時間は、コンセプト・業態によって決定するべきものです。
ターゲットとする客層と利用動機、それに基づく商品構成や価格、提供方法、雰囲気づくり、それらトータルなコンセプトの組み立ての中でおのずと決まってくるものなのです。
一般に飲食店の営業時間は、業種業態によってほぼ同じ時間帯に設定されています。
飲食ニーズはほとんどの場合、発生する時間帯がある程度の幅の中で決まっています。
つまり、その時間帯以外の時間に営業してもロスやムダが出てしまうのです。
そのため、一般的には確実なところで決めています。
しかし、これが正解とは限りません。営業時間外にもニーズが発生している場合はよくあるのです。
例えば、ランチタイムからディナータイムまでの午後の時間帯は、暇な時間帯のため大半の飲食店は店を閉めています。
しかし、この時間帯も通して営業し、多くのお客様を呼び込んでいる事例も少なくありません。
このように、飲食ニーズと営業時間の関係は必ずしも固定的に決まっているものではありません。
では、どのように営業時間は決めればいいのでしょう。
答えは立地特性を見極めることにあります。
自店の立地では、ニーズがどの時間帯にどのくらい発生するのかを調査すればいいのです。
立地調査の時、ニーズということをしっかりと頭に置いておくようにしましょう。
立地調査では、どんな人がどの時間帯に集中するのかを探ります。
この時、自店のコンセプトという前提で調査しなくてはいけません。
お客様にならない人たちがいくら通っても意味がないのです。
この調査の結果から営業時間を設定しますが、注意が必要なのが閉店時間です。
なぜなら、入ってすぐに閉店するようなお店は利用してもらえないからです。
そのため閉店時間は、お客様の入りがある程度見込める時間帯に一時間プラスして設定するといいでしょう。
休日も立地特性によって変わります。
例えばオフィス街の場合、土曜日の午後と休日はまったく商売になりません。
営業時間と同様に、立地調査の結果で決めるようにしましょう。
商店街などの場合、水曜日や土曜日にいっせいに休むという場合があります。
これは、週のうち最もニーズが少ない日というのが理由です。
しかし、一店だけなら十分に成り立つということもありえます。
それならあえて、競合店の休日に営業してもいいでしょう。
営業時間や休日は、無理をするのはよくありません。
無理を続ければ、必ずどこかに不具合が出てきます。
それよりも、週に一日は休みを取ってリフレッシュし、いつも新鮮な気持ちで営業したほうがいいのです。
営業時間を決め、定休日として休むことはお客様を裏切ることにはなりません。
飲食業は長続きすることも重要なのです。
ビジネスパートナーとなる食材業者の選び方
はじめて飲食店をオープンする場合、もっともやっかいなのが食材業者の選定です。
飲食業の専門雑誌に広告は出ているし、電話帳でも探すことはできますが、いい業者かどうか判断はできません。
また、いくらモノがよくても仕入れ値が高すぎたら利益は出ないし、利益を優先すればお客様は支持してくれません。
長年営業しているお店でも、苦労しているのが食材の仕入れなのです。
飲食店は食材がなければ成り立ちません。
そのため、サンプルを取り寄せて自分で比較検討してみるしかありません。
食材といっても生鮮品もあれば加工品もあります。
そして、基本的に飲食店はかなりの種類の食材を使用します。
そのため、食材をいちいち別の業者から仕入れていては大変なことになります。
また、業者によって得意、不得意があり、品質や価格も違ってきます。
そこで、自店の主要食材を決めて、その取引業者を探すことを優先する方法がオススメです。
主要食材を2、3種類に絞り込み、それを主力商品として宣伝している業者を探して、相見積もりを取るのです。
相見積もりは最低三社から取るようにします。
そして、配達の条件もしっかりと確認することが大切です。
特に配達の条件は重要です。
仕入れで大切なことは、品切れを起こさないことと過剰な在庫を抱えないことです。
そしてこれらは、業者の配達態勢に大きく左右されてしまいます。
主要食材以外の残りの食材については、最初は小売店で買ってもいいのです。
最初からすべての業者を決定する必要はありません。
業者との付き合いで大事なことは、無理な値引きを強要しないことです。
業者も商売なので、利益にならない相手に誠意を持って付き合ってくれることはありません。
食材業者は、飲食店のビジネスパートナーと考えるべきです。
食材の流通は単純なものではありません。
だからこそ、専門の業者を活用する必要があるのです。
お互いに利益が出るようになれば、さらにいい食材、お得な食材、変わった食材も届けてくれるようになります。
スムーズなオープンを可能にするスタッフの募集方法
スタッフの募集で、100パーセント確実な募集方法はありません。
スタッフ探しが大変なのは、どこのお店も同じなのです。
しかし、スタッフがいなければお客様を迎えることができません。
お店のオープン準備というと、店舗関係の準備に頭が行ってしまいがちですが、スタッフがいなければオープンできないのです。
飲食店の付加価値は商品、サービス、雰囲気の総合力で決まりますが、そのうち商品とサービスは、スタッフの助けがなければきちんと提供することができないのです。
オープン当日にスタッフを戦力とするためには、オープン予定日の3~5日前にはトレーニングを開始しておく必要があります。
そこから逆算し、早めに募集をはじめておく必要があるのです。
効果のある募集の仕方というものが存在します。
それは、どんなお店がどんな人を求めているかということを、明確にアピールすることです。
例えば、よく見かける募集広告を見て本当に働きたいと思う人がどれほどいるでしょう。
似たような広告はほかにもたくさんあるので、応募の動機が「通勤が楽」「自分の好きな繁華街にある」程度になってしまうのです。
だから、応募してくる確率も低いし、採用できたとしても定着率が悪くなる傾向にあります。
そのため、募集広告にはどんなお店で、どんな人材を必要としているのかをわかりやすく表現する必要があります。
応募する人たちは、働けるならどんなお店でもいいとは思っていません。
募集の媒体は求人専門誌や新聞などが中心で、駅などの掲示板も利用してみる価値はあるでしょう。
また、店頭に募集の張り紙を出しておくのもいいでしょう。
後々のことを考えると、できれば近所に住んでいる人が理想的です。
住まいが近所なら、別のスタッフが急に病気になった場合などに、何かと無理も聞いてもらいやすくなります。
スタッフがたんなる労働力ではないことは、しっかりと認識しておく必要があります。
お店のコンセプトをつくるのはあなたですが、そのコンセプトを実際に表現し、お客様の支持を取りつけていくのはスタッフなのです。
そのため、募集する前にスタッフの条件を明確にしておく必要があります。
来てもらいたい人がはっきりしているから、面接時に客観的に評価できます。
パート・アルバイトの場合、家族の了解を取りつけておくことも重要です。
家族の承諾がないと、トラブルに巻き込まれることもあるので注意が必要です。
また、調理師を雇う場合、キャリアだけで判断してはいけません。
大切なことは、自店の規模やメニュー内容に合う仕事ができる人かどうかなのです。
お店の印象を左右するオープン前トレーニング
優良フランチャイズチェーンでは、加盟店のオープン前に必ずオーナーとスタッフのトレーニングを実施しています。
なぜなら、フランチャイズチェーンのオーナーはほとんどが素人で、チェーンのやり方を知らないからです。
初心者・素人の集団に、いきなり加盟店の運営を任せたら確実に失敗します。
しかも、その加盟店が失敗するだけでは収まらず、チェーン全体のイメージが損なわれてしまいます。
もちろん、チェーン本部は加盟店オーナーが素人でも成功するように導く責任があります。
だからこそ、オープン前に徹底的なトレーニングを実施するのです。
同時にそれは、チェーンのイメージを維持し、お客様の支持を拡大していくために絶対に必要な条件なのです。
逆にいえば、オープン前トレーニングを軽視しているチェーンは成長することができません。
オープン前トレーニングの重要性は、個人店でも変わりません。
なぜなら、飲食店はオープンしたその日からプロの集団である必要があるからです。
お客様からお金をいただく以上は、その料金に見合った価値を提供しなくてはなりません。
商品、サービス、雰囲気のすべてにおいて、お客様に満足してもらう必要があります。
これができないと、お客様の支持を得ることはできないのです。
もちろん、初めてオープンするお店に完璧を求めるのは無理があります。
多少のことはお客様も許してくれるかもしれません。
しかし、できるだけプロに近づける努力は絶対に必要です。
失敗を許してもらえるのは、努力がお客様に伝わっている場合だけです。
お客様を裏切ることのないきちんとしたお店でスタートするからこそ、成功のチャンスは巡ってきます。
いったん営業を始めてしまうと、毎日の業務の忙しさに追われて訓練ができなくなります。
トレーニングは接客サービスと調理の両方で行い、同時進行がベストです。
なぜなら、実際の営業ではその連携がもっとも大切になるからです。
短期間のトレーニングは実戦訓練がもっとも効果的です。
具体的な訓練については、とにかく基本を徹底的に叩き込んでいきます。
まず、接客サービスでいえば発声訓練と動作訓練の二つに分けられます。
基本の接客用語とお辞儀の仕方、料理の運び方などを教えていきます。
だれでもできそうな簡単な言葉と動作ですが、ここに落とし穴があります。
普段の生活で使う言葉や動作でないため、それなりの慣れが必要になります。
また、オーダー通しの訓練もしっかりとやっておかないと、ピーク時に必ずパンクしてしまいます。
一方、調理のトレーニングでは、安定した料理を標準時間内につくれることが第一の目標となります。
料理の試作は材料費がかかりますが、ぶっつけ本番では絶対にいけません。
さらに、サービススタッフにも試作した商品を食べてもらい、ある程度の商品知識を持たせることも大切です。
商品の説明ができるよう準備しておく必要があるのです。
スタートダッシュを切るための開店キャンペーンのやり方
飲食店が確実に成功するための最大の条件は、多くの人にお店の存在を知ってもらうことです。
お店の存在が知られなければ、お客様になってもらうことはできません。
多くの人たちに知ってもらうまで、じっと待っているわけにはいきません。
オープンと同時に、自店の存在を広く知ってもらう必要があります。その戦術が開店宣伝なのです。
飲食店の成功のカギは、オープンが握っているといっても過言ではありません。
オープンがうまくいけば、そのまま軌道に乗る確率が高まりますが、オープンで失敗すると取り返すのに時間がかかるからです。
オープンの失敗でマイナスイメージを持たれてしまうと、それを帳消しにするのにかなりの時間と努力が必要になります。
しかも、居抜き店舗を活用してオープンする場合は、前のお店のイメージというハンディもあります。
そのイメージを払拭して新しいお店が誕生したことをアピールするためにも、開店宣伝は非常に重要な意味を持つのです。
では、オープンでお客様を満足させ、できるだけ多くの人にお店の存在を覚えてもらうにはどうすればいいのでしょう。
派手に開店宣伝をすればいいかというと、必ずしもそうではありません。
新店がオープンしたことは伝わりますが、オープンしたというニュースだけではなかなか乗ってこないのです。
多くの人たちに確実に利用してもらうためには、それなりの開店サービスを提供する必要があります。
お客様からすれば、どのような内容かわからない新しいお店です。
そこに足を運ばせるためには、それなりの見返りが必要なのです。
このサービスは、チラシなどに何らかのサービス券を付けるのが一般的になっています。
しかし、中途半端なサービス内容では、大した効果は期待できません。
よくあるサービス内容はワンドリンク付きや一割引き程度のものですが、これではお客様のハートをくすぐることができません。
開店サービスは、お客様にお店を知ってもらい、末長くお付き合いしてもうための試食の場でもあります。
飲食店は、どんなにいいお店でも利用してもらわないことにはよさが伝わらないのです。
本気で成功したいなら、50%OFFなど思い切ったサービス内容が必要です。
ある程度の投資をしなければ大きなリターンは望むことができません。
サービス期間の長さについても考える必要があります。
よくあるサービス券の有効期間は、三日間~一週間程度に設定されていますが、これでは短いでしょう。
その期間中にたまたま来られなかった人も大勢いるのです。
最低でも二週間、できれば一カ月は有効期間とし、その間は開業経費と割り切って、ひたすら自店のアピールに徹する必要があります。
居抜き店舗を有効活用して飲食店を成功させる
特にお店づくりの段階においては、居抜き店舗特有の注意点がたくさんあります。
ここで紹介したことをきちんと守ることで、居抜き店舗を選んで失敗することはなくなるでしょう。
また、新店舗と共通の注意点もあります。
これらは、お客様に関することが多いです。
居抜き店舗であろうと、新店舗であろうと、経営の基本は変わりません。
お客様を一番に考えれば、あなたのお店はきっと繁盛します。ぜひ頑張ってみてください。